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実りの秋に思う(「開成の杜」第92号から)

2013.10.23ニュース

 「実りの秋に思う」


 ひと雨ごとに温かくなり、 ひと雨ごとに寒くなる日本の四季。記録的な猛暑の日々が 過ぎ、何時しか涼風が心に馴染んできたような昨今です。 学生・生徒・園児の皆さんは 有意義な夏を過ごし、成長した自分を実感している事と思います。

 私達の国、日本の四季は誠に素晴らしい四季です。歳の暮れの諸行事から、お正月には梅や桜の花を思い、その早からんことを願いながら、一年聞の無事を祈願する慣わしは、日本独特の精神文化ではないでしょうか。大切にしなければなりません。やがて、待ち焦がれていた梅と桜が咲き、人びとの動きが活き活きとしだす姿を見るのは心地よい思いがします。そして夏、 田圃に水がはられ、稲が元気を漲らせ、蛙の嶋く音や蝉の声を聞きながらカキ氷を喜ぶのが普通の夏でしたが、今年の夏は渇水や洪水に見舞われ記録破りの猛暑に悩まされた夏でした。

 今は秋です。本来ならば、栗や梨・葡萄などを初め、秋刀魚・キノコ・落ち鮎と美味しい味覚に溢れていたはずでしたが、平成23年3月11日以来、徐々に回復の兆しはあれども秋の味覚を楽しむ心が奪われてしまいましたのは残念でなりません。

 何故この様な状況に成ったのでしょうか。私なりに思いを巡らして見たことを述べ、皆さんの御意見を待ちたいと思います。

 原子力発電に携わる専門家や東京電力の人びとには一通りの安全性に関する知識はあったのでしょうが、今日の自然は今日だけの自然であって、明日は違うと云う自然の摂理を理解する能力が欠如していたのではないでしょうか。この事は人間の総合的思考能力の源とも言える教養教育よりも、即製栽培的に専門性ばかりを重視した学校教育に対する反省が求められていると思います。

 地球の成り立ちの研究と歴史・文献に見られる地震の記録を融合させる研究、自然科学と人文科学の融合があれば大震災による原子力発電所の安全確保は可能であったと考えますが如何でしょうか。

 翻って、コンピューターやスマートフォンをめぐる多様 なソフトは便利で生活の向上に役立つものですが、使い方を誤れば取り返しのつかない結果につながることは誰しも知っている事実です。これとても、自然科学と人文科学の融合による教養ある人間として安全な社会に寄与する責務を心しなければならないでしょう。秋の夜長に知恵を使う人間のあり方を考えてみたいものです。

(H25・9・24記)

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*この記事は,学校法人郡山開成学園 広報誌「開成の杜」の第92号(2013年10月10日発行)に掲載されたものを転載致しました。

「開成の杜」第92号の主な内容

・東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故に伴う平成26年度入学予定者に対する
 授業料等減免措置に新たな支援項目の追加と「特待生対象者の拡充」について
・第49回学園教育充実研究会開催
・平成26年度入学案内概要
・学園ニュース
 -本学の魅力にふれる「オープンキャンパス」開催
 -附属高校体験入学会開催
 -全国大会に出場
・平成24年度事業報告・決算報告

ほか

「開成の杜」はコチラからご覧頂けます


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