Faculty interview

教員インタビュー

教員インタビューでは、
郡山女子大学・郡山女子大学短期大学部の先生方を紹介します

Q1. 現在、取り組んでいる研究内容について教えて下さい

A.2001年から会津若松市笹山原遺跡Mo.16の発掘調査を毎年継続して行っています。
現在まで1000㎡以上の面積を調査しました。笹山原遺跡No.16は重層遺跡で、後期旧石器時代前半期(約28000年前)、縄文時代前期初頭(約5700年前)、平安時代前半(約1200年前)です。それぞれの時代の人々が猪苗代湖畔で様々な方法(移動型の狩猟採集のキャンプ地、初期定住型の狩猟採集のムラ、農耕社会における土器作りの集落)で生活してきたことがわかってきました。
このような研究は地域創成学科がめざす、失われた地域文化を明らかにしてゆく研究の一環です。
これとは別に動作連鎖概念に基づいた石器技術学研究も現在取り組んでいるもののひとつです。石器を観察するだけでなく、仮説をたて製作実験を行い証明するという、科学的手法を用います。
そのためには、石器時代人以上に上手く石器を作れなければなりません。ですから、私は時々考古学実習室で石器を作っているのです。

Q2. 担当されている講義では、どのような内容を、どのように教えているのですか 

A.私は考古学のほかに学芸員課程の授業も担当しています。両者に共通するのは実物資料を用いることです。
しかし、最初から何の知識もなく資料を扱うことはできません。基礎となる考古学・博物館学を学んでから、実際の発掘調査や博物館実習を行うようにしています。卒業論文では出土した考古資料を扱う論文指導を行います。
さらに、考古学を深めたい学生には専攻科を勧めます。そこには4年制大学の考古学専攻に劣らないほどのカリキュラムが準備してあります。
実習発掘にも毎年参加してもらいます。そこで論文を作成し、学士の資格を取得すると、埋蔵文化財の発掘調査を行う仕事や考古系学芸員への道が開けます。修了生にはそのような専門職についている人が4名います。

Q3. 先生の学生時代の様子や、これまでの生い立ち等を教えて下さい

A.私は小学校4年生の時に『埋もれた日本』という本を読んで考古学の世界を知りました。
本物の縄文土器、石器を採集することで、考古学の世界にのめり込んでいきました。でも、それはただの採集屋にすぎませんでした。大学に入り様々な先生から教えを受けることで、学問としての考古学に魅力を感じるようになりました。
発掘調査の思い出は数限りなくあります。 海外ではロシア沿海州のウスチノフカ遺跡の調査に参加したことがあります。人家が全くないところにテント村を作って調査をしました。その時、沿海州で最古の土器を掘り当てることができました。
私は結構、当たり屋なんです。こんな経験が私を考古学の虜にしています。ですから、今も発掘調査を続けているのです。

Q4. 本学の学生や、これから本学で学ぼうとしている高校生に一言お願いします

A.これから自分がどのように生きてゆくか、どんなことが学びたいかはっきりしているならば、そのような専攻がある大学をお勧めします。
自分で何をやりたいのか、どんな学問の世界、社会があるのかよくわからないという高校生、そしてどちらかというと文系だなあという高校生がいたら、地域創成学科を覗いてみてください。
あなたの知らない世界がそこにはあるはずです。考古学の専門家にならなくとも、何千年も前にヒトが作り使ったものを自分の手で掘り出す経験をすることは、きっとあなたの人生を豊かなものにします。
何百万年も雨の日も風の日も雪の日もヒトが生きてきたから今のあなたがいるのです。それを知らないで、何故生きていられるのですか。

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